第2回は前回(文章問題の考え方講座 ~part1 #1~)と同じ問題を題材に、けれど少し違った解き方について考えていきたいと思います。
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ある中学校の昨年の生徒数は、男女あわせて530人であった。今年は、昨年と比べると、男子は5%減り、女子は8%増え、合計では6人増えている。今年の男子と女子の生徒数を、それぞれ求めよ。
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この問題、解き方を覚えてなぞるだけの子たちがよくやるのが、「今年の男子と女子の生徒数」を「x , y」とおいて解こうとすること、ですね。
もちろんそれでも解くことは出来ますが、何%増えた減った、という変化が昨年の人数を元にしているので、今年の人数を基準に考えようとすると少し難易度が上がります。
で、どういう式を書けばいいか分からずに困り果てている子たちが非常に多いです。
「今年の男子と女子の生徒数」を「x , y」とおいて
「昨年の男子と女子の生徒数」を「x , y」を使って表わす
となるのですが、ここで必要なのが「○%増えたり減ったりしたものを、増えたり減ったりする前に戻す」計算の考え方ですね。
要するに「税込み価格を、税抜き価格に戻す」計算、と言えば分かりやすいかな。
この考え方が分からない子はとても多くて、
例えば、
男子が5%減った → 5%増やせばいい
1.05x
女子が8%増えた → 8%減らせばいい
0.92y
というような考え方で間違った式を書く子が割と多いです。
しかし「昨年の人数を元にした5%」と「今年の人数を元にした5%」というのは、値が同じ「5%」であっても、その中身は別物です。
この問題ではあくまでも「昨年の人数」を100%として考えなければなりません。
昨年の人数を「x , y」として今年の人数を表わすと、
こうでしたね。100だったものが95に、100だったものが108に、という変化をもう少し分かりやすく書くと、
このような感じでしょうか。
100だったものを95にする(100で割って95を掛ける)
100だったものを108にする(100で割って108を掛ける)
という計算です。
今年の人数を「x , y」として昨年の人数を表わす場合は、この計算を反転させればいいですね。つまり、
95にしたものを100に戻す(95で割って100を掛ける)
108にしたものを100に戻す(108で割って100を掛ける)
という計算をしてあげると、5%減る前の人数、8%増える前の人数、をそれぞれ求めることが出来ます。
これで式が二つ完成したので、あとは連立方程式の計算で解けばいいですね。
今回は求める数である「今年の男子と女子の生徒数」を「x , y」とおいて式を立てているので、計算して求めた「x , y」の値がそのまま答えとなります。
今回の考え方はいかがでしたか?
昨年の生徒数を「x , y」とおくか、今年の生徒数を「x , y」とおくか、たったそれだけの違いですが、式を書くための考え方の難易度はかなり差があるかもしれませんね。
とはいえ、今年の生徒数を「x , y」とおいて式を考えたからこそ、「方程式の文章問題の解き方」ということだけでなく「○%増えたり減ったりした物の数を、○%増えたり減ったりする前の数に戻す、割合の計算の考え方」まで学ぶことが出来るのです。
スタンダードな問題の解き方だけを教える、というのは最短ルートで効率よく思えるかもしれませんが、今回のような考え方を学んで行くことは、たとえ時間がかかって非効率的に思えても、子どもたちの地頭力を育てるとても大切な過程だと考えています。
たくさん寄り道をして、たくさん考えた子ほど、応用力が身に付きます!
ですので当塾ではひとつの考え方だけに囚われず、自由な発想でさまざまな考え方を身につけられるよう、分からない事に対し試行錯誤を重ねていく!そういう学習を大切にしています(^^)
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