前回 の続き。
さて、「距離」と「道のり」の言葉の違いを勉強したところで、本来のテーマである、
『小・中学生の "速さ" の学習において、「距離」と「道のり」のどちらを用いるべきか』
について考えてみたいと思います。
まず私の考えは、「距離」を使う方が適切、だと感じます。
「速さ」の学習の中では「AとBという二点間の長さ」を考えることもあれば「池の周りだったり、家から学校までといった道の長さ」を考えることもあるわけです。
そのどちらでも使うことのできる「距離」で定義したほうが適切です。
「道のり」とは「道路の距離」に限定した言葉なのだから「AとBという二点間の長さ」というようなことを表わすのには不適切なんですよね。
けれども、どうも学校の教科書では「速さ、時間、道のり」で表記しているようです。
すべての教科書をもっているわけではないので各教科書会社の指導計画作成資料、
東京書籍
http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/shou/sansu/program.htm
大日本図書
http://www.dainippon-tosho.co.jp/j_school/sansu/archive/guidance_plan.html#no01
学校図書
http://www.gakuto.co.jp/web/jun/junsansu/nenkan/
教育出版
http://www.kyoiku-shuppan.co.jp/view.rbz?cd=2562
啓林館
http://shinko.ee-book.com/h27textbook/math/curriculum/
日本文教出版
http://www.nichibun-g.co.jp/textbooks/sansu/sansu_dl/
を確認してみましたが、ほぼ全ての教科書で「道のり」を使っていました。東京書籍と啓林館のみ「距離」という言葉も使っているようですが、この2社も速さの公式を学ぶところからは全て「道のり」で表記されています。
また、手元に合った教科書「東京書籍:新編 新しい算数6」も確認してみました。
速さの単元はP108~P119で、そのうちP108~P111までは全て「きょり」で表記がされていますが、P112から唐突に「道のり」に変わります。ちょうど公式が登場するところからで、以降は全て「道のり」になっていました。
学校の教科書や準拠ワークなどをみても大体は「道のり」で統一されているようです。
これ、なんで「道のり」になったんでしょうね。「距離」の方が汎用性の高い言葉だと思うのですが。。。
その辺りの経緯なんかも知りたいものです。
さて、ということで結論。
距離と道のりの意味の違いは知っておくべきだが、速さの勉強をする上ではイコールと考えても問題はない
が私の出した答えです。
ここで学ばないといけないことは「速さに関わる数量の関係」を正しく理解すること。
速さと時間から導き出される長さのことを「距離」と「道のり」という記号のどちらで考えたとしても結果は変わらないですし、支障もないです。
なかには表記を統一しないと子どもたちが混乱する、ということをおっしゃる先生もいたりしますが、少なくとも私はその程度のことで混乱するとは思えませんし、そんなことで困っている子どもも見たことはありません。
もし二つの言葉の違いに戸惑う子がいれば、その時は先生が助けてあげればいいだけです。
先生はそういうときのためにいるんですから(^^)
コメントをお書きください
マイスター (木曜日, 16 11月 2017 07:10)
距離と道のりは意味が違います。3年生で学習済みです。なので、本来は「道のり」が正解でしょう。
東京書籍で、最初の記述が「きょり」なのは、50mなどの直線だから、2点を結ぶのは、「距離」「道のり」のどちらも使えるからでしょう。だからこそ、次からは「道のり」の表記になっていると考えます。
実際に200m走、400m走などの速さは直線ではなくカーブですよね。妥当な記述と考えます。
オイスター (火曜日, 28 5月 2019 23:35)
昔の記事に失礼します.
私は当記事の筆者に賛成です.
マイスターさんが陸上競技を例にとっておられますが,
例えば同様のトッラク種目で2000メートル走などは「長距離走」と呼ばれますし,
走行距離,実際に走った距離といえばカーブを含む「道のりの長さ」をあらわしていると思います.
件の道のりと距離の分け方は小学校算数用語といっても過言ではない言葉だと思います.
……が,まあまあ便利なので別に使ってもよいかとも思います.
匿名 (土曜日, 12 3月 2022 13:20)
通りすがりにすみません。
私も「道のり」という言い方に疑問を持ちました。
子供がちょうど「速さ」の勉強をしており、公式が「道のり」で書かれていて違和感があり、検索して辿り着きました。
私が子供の頃は「速度=距離÷時間」と習った様に思います。
やはり「道のり」は、「道程」の印象が強く、「移動した道の形跡、移動して辿った道」という印象が強いです。
「距離」を「直線距離」だけに限定するなんて、今の算数は変なことを教えるもんだなと思いました。
中学高校大学でもそうなのでしょうか?
「移動距離」や「飛行距離」など「移動した道のり」「飛行した道のり」などと言い換えるのでしょうか。
文科省が決めたのか、どこが決めたのか分かりませんが、何故こんな教え方をしたのか非常にモヤモヤしてしまい、コメント書かせていただきました。
失礼いたしました。